最近人気が出てきた有機ELテレビ。電気屋さんで有機ELテレビを見たことがあると思います。
一度、有機ELテレビの映像美を観ると有機ELの映像美でググッと引き込まれますよね。
そんな有機ELテレビは、ちょっと前まで高嶺の花でしたが、最近はコストダウンが進み、買いやすくなってきたので、有機ELテレビが気になって仕方がないのではないでしょうか?
今回は、私の液晶ディスプレイ設計者の経験を生かして、有機ELテレビの特徴、メリット、デメリットを踏まえて有機ELテレビを買うかどうかの判断の手助けをしたいと思います。
私は液晶ディスプレイ設計者
私の前職は液晶ディスプレイの設計者です。
パネル設計や、製造プロセス設計もやっていましたね。
ケータイ、カーナビ、テレビ等様々な製品を設計してきました。
特に液晶ディスプレイはイヤと言うほど見てきたエンジニアです。
そんな私が有機ELディスプレイのメリットとデメリットを紹介します。
有機ELテレビ買ったら液晶に戻れない
そんな液晶ディスプレイエンジニアとしてやってきた私ですが。
何故か私生活でもディスプレイ関連の話がやってきます。
実は、私は液晶ディスプレイ推しだったんですが、知人から有機ELテレビを安くで譲って頂ける話が舞い込んできました。
しかも、そんなに古くないモデルで格安だったので買いまいした。
そして「液晶ディスプレイには戻れないな」と思うようになったんです。
その決めては画質です。
今まで液晶ディスプレイを仕事、私生活でも数え切れないほど作って評価してきました。
そんな私でも、これからは有機ELディスプレイの時代だなと確信しました。
有機ELの画質は本当に良いのか?
有機ELの画質は液晶に比べて良いです。
画質を左右するのは明るさ、視野角、応答速度等、様々な性能がありますが、有機ELの場合、画質に一番効いているのはコントラストです。
コントラストは明るいところと暗いところの差のことです。
明るいところは明るく暗いところは暗く表現できればコントラストが高くなり高画質になります。
液晶ディスプレイはバックライトが常に光っている構造上、黒を表現する場合、どんなに暗くしてもチョッピリ明るくなります。
液晶ディスプレイの映像はバックライトの光を液晶を使ったシャッターで光の量をコントロールしています。白なら光を透過させて、黒なら光を全て遮ればいいわけです。
しかし、液晶は全ての光を遮ることはできません。どうしてもちょっとだけ光が漏れてしまいます。
暗いところでも光が漏れてしまうのでコントラストが低くなってしまいます。
対して有機ELは自発光なので黒を表現する時は光りません。
黒の明るさは限りなくゼロなので明暗差が大きくなるのでコントロラストが高く有機ELは高画質なんです。
これが有機ELが高画質の秘密です。
有機ELのデメリット
そんな高画質が大きなメリットの有機ELですが、デメリットもあります。
そんなデメリットの一部を紹介します。
有機ELテレビの寿命
有機ELテレビは液晶テレビやブラウン管より寿命が短いとされています。
なぜでしょうか?
確かに原理的に液晶は電圧で液晶の向きを変えるだけ、電流で自発光する有機ELは消耗して液晶に比べて寿命が短いという説明は多くのサイトで言われています。
でもね。
テレビの寿命って表示デバイスの寿命で決まりません。
というのも液晶や有機EL部分よりも他の部品の寿命の方が先に訪れます。
例えば、私は2000年代にソニーの液晶テレビを買いました。
ブラウン管より長持ちで長寿命な液晶テレビということで期待していました。
10年以上経っても、しっかりテレビを楽しめています。
液晶は全く問題ありません。
しかし、急にテレビが映らなくなりました。
故障の原因はチューナーの故障でした。
私の液晶テレビはチューナーの寿命で終わりました。
決して液晶の寿命で壊れたわけではないんです。
このように、デバイスの寿命はそれを構成する部品の寿命で決まります。
こういった観点から有機ELテレビは液晶テレビより寿命が短い、という考えは間違いです。
消費電力が大きい問題
有機ELテレビは消費電力が大きいのは事実です。
現時点ではね。
私が持っている有機ELテレビLG製55型有機ELテレビがアニメを観ている時の消費電力はざっくり140Wでした。
同じ55型液晶テレビならもっと低い電力で観られます。
有機ELテレビは液晶テレビより電力が大きいから買い時じゃないというのは間違いです。
確かに、有機ELテレビは液晶テレビより電力は大きいですが、高画質というメリットがあります。
しかし、液晶テレビだった今でこそ低消費電力でしたが、昔の大型液晶テレビの出始めの頃はめちゃめちゃ電気食ってましたよ。
当時としては大画面32型で今の55型有機ELよりも小型なのに200W超の消費電力で、ものすごく熱を発生するので、液晶テレビのある家では冬は暖房要らずと、液晶テレビを持っていない人に皮肉を言われていたのもです。
消費電力がネックで家電が買えないと、いつまて経っても買えません。
今の有機ELテレビが液晶テレビ並みの消費電力になるまで製品開発が進む頃には新しいタイプのテレビが登場していることでしょう。いつまで待っても買い時は訪れません。
映像焼付き問題
有機ELテレビには映像の焼付き問題もよく話題にされます。
でもね。
焼付き問題は液晶、有機EL、ブラウン管にもあります。
それが発現するまでの時間の差があるくらいです。
原理的にはブラウン管や有機ELには焼き付きやすいです。
でも、昔と違って今のディスプレイには焼き付きを防止するための技術やソフトウェアが内蔵され工夫されています。
有機ELは焼き付きやすいから液晶より劣るというのは間違いです。
液晶、有機EL、ブラウン管などのような表示デバイスでも同じ映像を流し続けていると焼き付きが起ります。
焼付きが気になっていたらどんなテレビも買えません。
焼付き問題は気にしない方がいいです。
有機ELテレビはメーカーで選ぶ
私は、有機ELテレビをメーカー指定で買うのもアリだと思っています。
有機ELテレビの大切な部品、大型有機ELパネルはLGがほぼ独占で作っています。
日本のメーカーはLG製の有機ELパネルを買ってきて自社の有機ELテレビを作っているわけです。
外付けHDD録画やネット配信サービスを再生する機能もほとんどのテレビには標準搭載されているので、そこで差別化はできません。
日本のメーカーはテレビの映像を他社よりも美しく再生させる技術、映像エンジン(画作り)で勝負しているわけです。しかも、メーカーの得意な映像の見せ方が違うので、自分の好きな画作りのメーカーで選ぶのもアリだと思っています。
ちなみに、私が好きな画作りのメーカーはソニーと東芝です。
有機ELテレビを買う前の液晶テレビはソニー製でした。
次、テレビを買う時はソニーに戻りたいですね。
まとめ
今回は液晶ディスプレイエンジニアの経験から有機ELテレビのメリット、デメリットを紹介してきました。
極端な話、有機ELテレビの画質にメリットを感じているなら買い時は欲しい時です。
好きなメーカーの有機ELテレビを選んでみてはいかがでしょうか?
参考になれば幸いです。
ご意見ご感想をお待ちしています。
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